映像変換をする時のコツってあるの?
有料・無料問わず、エンコードソフトで必ず目にする”ビットレート”という項目。
ここを押さえていれば、画質やファイルサイズで迷う事はなくなります!
ビットレートとは?
「どれだけのデータ(情報)を転送できるのか」という転送率を表す単位になります。
映像や音の質に関わる部分ではこの数値が大きいと、ある地点で通過したデータの量が多いということになります。
データ量(映像・音声情報)が多くなれば、それだけ高画質・高音質になります。
ビットパーセコンド(bpsまたはb/s)と表示されます。
では、数値を上げるだけ高画質・高音質になるのかというとそれは違います。
あくまでも元動画の画質・音質を維持する為のもので、元動画以上に画質・音質そのものを向上させる事はできません。
また、数値を高くするほど再生負荷が大きくなります。
画質は元動画とあまり変わらないけど、再生が重くてスムーズに見れない、ファイルサイズが重たいといった事になりかねません。
目的に沿った適当な数値で変換する事が重要です。
CBRとVBRとABR
転送する率はビットレート値で決めますが、その転送の仕方として種類があります。
CBR・VBR・ABRの3種です。
1.CBR
CBRとはConstant Bit Rateの頭文字をとったものです。
固定ビットレートという意味で、毎秒のビットレートの数値を固定してしまうというものです。
例えば「3MbpsのCBR」でエンコードしたデータは、再生すると常に3Mbpsのレートで転送します。
常に一定のレートで転送しますので、複雑な部分があったとしてもデータを削って転送しなくてはならなくなります。
逆に単純な部分は空のデータを埋める事(パディング)でビットレートを安定させています。
特徴としては、
●ストリーミング再生に適している。
●シーク時間が短い。(途中から再生する時の読み込み時間)
●ファイルサイズの予測ができる。(ビットレート×時間)
デメリットとしては、
ビットレート値を超える複雑な部分のカット、満たない部分の補填といったデータに無駄が出やすく効率の悪い転送になります。
ビットレートを高く指定する事で画質の方は解決しますが、その分ファイルサイズは大きくなります。
2.VBR
VBRとはVariable Bit Rateの頭文字をとったものです。
可変ビットレートという意味で、毎秒のビットレートの数値を変動させるというものです。
複雑な箇所には多くのデータを割り振れるようビットレートの値を高くし、逆に単純な箇所には割り振りを抑えて効率的に転送できるようになります。
そのため、VBRを設定する際には、最大・最小・ターゲットの3か所、ビットレートを指定できます。
(アプリケーションによっては2点だったりしますが、要は割り当てるビットレートの範囲を決められるようになっています)
特徴としては、
●同容量のCBRよりも高品質になりやすい
●エンコード時の処理も早い
●エンコード設定で「クオリティ」で品質を指定する、ビットレートの上限と下限の数値を決めて、その範囲内でレートを変動させるようにするといった事ができる。
デメリットとしては、
ビットレートの値が常に変動しているため、エンコード後のファイルの容量が予測しにくくなります。
(映像のどこに多くの情報を割り振ればいいのか、または削ればいいのかエンコードをしてみないと判断が付かないからです。)
3.ABR
ABRとはAverage Bit Rate の頭文字をとったもので分類でいうとVBRの一種です。
(アダプティブビットレートとは違うものです。)
CBRとVBRの良い所を採用したエンコードモードです。
エンコード後のファイルサイズを予測できる変換の仕方をしますが、VBRのように転送レートも可変になります。
ABRでエンコードすると指定したビットレートの値が全体の平均値となるようにビットを割り振ります。
CBRのように変換後のファイルサイズを予測できるようになり(平均値×時間)、さらにVBRと同じくビットレートの割り振りが最適化されます。
特徴としては、
品質を保ちながら、ファイルサイズをある程度予測できるようになります。
VBRのように最大値と最小値を設定してその範囲内で可変させたり、最大値(ピーク)を指定してそれ以上のビットレートにならないよう制限させたりもできます。(エンコーダーによって多少の違いがあります)
デメリットとしては、
VBRよりも高度なレートコントロールをするため、他のモードより処理に時間がかかります。(1pass時)
動画編集で使用する時に音ズレが発生する事があります。
1passと2pass
エンコード処理を進める際の方法です。
●1pass
エンコードするデータの複雑さを常に変換・予測をしながらビットレートをコントロールする方法です。
1回のエンコードで済むため高速な処理が可能です。
ただし、予想が外れた場合は一部大きく品質が低下したり目的のビットレート値から大きく外れることがあります。
●2pass(複数パス)
まずデータ全体の複雑さを解析し、そのデータを元にしてビットレートをコントロールする方法です。
1passと違い、全体を解析→変換と2回処理が入るため出来上がりは遅くなります。
ただし、予め複雑さを解析する事で効率的にビットレートを調整する事が可能になり1passよりも品質が向上します。
速度優先か画質優先かが決め手になります。
画質はほどほどでもいいから早く変換したい→1pass(速度優先)を。
時間かけてでも画質のクオリティをあげたい→2pass(画質優先)を選びましょう。
ファイル形式やコーデック、ファイルサイズ、画質に音質、再生用か編集用か、など
うまく自分の目的に沿った動画データを作っていきましょう。